アプリ開発を検討している方の中で、「開発会社のサイトを見ても費用がよくわからない」「開発コストを抑えたい」と考えている方は多いのではないでしょうか。
実際、アプリ開発は規模や機能によって大きく費用が変わるので、どのくらいが適正価格なのか見極めるのは難しいものです。
当記事では、アプリ開発費用の相場を種類別・機能別に紹介します。またトータルでかかる開発コストを安くするコツについても解説するので、ぜひ参考にしてください。
【種類別】アプリ開発の費用相場
アプリ開発は、どのような種類のアプリを開発したいかによって費用相場が大きく異なります。
まずは、アプリの種類ごとの開発にかかる費用相場を解説します。
EC・ショッピングカートアプリ
EC・ショッピングカートの平均相場は、100~300万円前後です。
ECサイトをアプリ化することで、プッシュ通知機能や位置情報機能など、通常のサイトには実装できない機能を備えられるようになります。
アプリの用途別に実装する機能やシステム設計によって、さらに費用が高額になることもあります。
またEC・ショッピングカートアプリを開発したあとは、かご落ち対策や離脱対策ができるツールを取り入れると良いでしょう。ただ開発するだけではなく、開発後の見込み客へのアプローチも大切です。
通話・メッセージアプリ
PCやスマホで用いられる、通話・メッセージアプリ(電子メール・電話・LINEなど)の平均相場は、100〜500万円程度です。
変動の幅はかなり広く、Skype・LINEのようなモバイル形式の通話は、アプリ開発費用が高額になります。
またビジネス向けの通話・メッセージアプリの場合、簡単にファイルを添付できる、権限を持ったメンバー同士でのグループを作れる、などの機能を備えると良いでしょう。
位置情報アプリ
位置情報に関するアプリ開発の平均費用は、500〜1,000万円前後です。
たとえば、ランニングや歩いた距離に応じて消費カロリーを計算するアプリや、友達や家族のいる位置を地図で表示するアプリなどがあります。
通信機能にかけられる開発分野が大きくなるため、費用も高額になりがちです。特にモバイルデバイスの場合は、機種によっても必要な機能や環境が変わってきます。
カタログ・フリーペーパーアプリ
カタログ・フリーペーパー系の平均相場は、50〜100万円程度です。
デジタルカタログや電子ブック、デジタルチラシなどのシステム設計が必要となり、アプリ開発にかかる費用相場は変動します。
現代では広告宣伝用のツールアイテムも多岐にわたるため、比較的低コストで済むでしょう。
ツール系アプリ
ツール系アプリ(業務支援システムなど)開発の平均相場は、50〜300万円前後です。
アプリ開発の中でも、用途や規模でかなり変動が見られます。
場合によってはさらに費用が高額になるでしょう。またメッセージ系の機能を搭載した場合、費用がかさむことになります。
ゲーム系アプリ
ゲーム系アプリ開発の平均相場は、300~1,000万円前後となります。
ストーリー設計やキャラクターデザインなど、さまざまな機能が必要になるため高額になりやすいのが特徴です。
さらに、SNS機能・マップ機能・オンライン設計などを実装することで、費用が変動します。
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ノーコードの基礎知識の紹介
ノーコードの開発ツール名/利用料金/サイトURL
開発したいアプリに応じたおすすめのツール紹介
「ノーコードツールが多くてどれがいいかわからない」「ツール別の特徴を一目で確認したい」という方は、ぜひご確認ください。
【機能別】アプリ開発の費用相場
アプリ開発は、実装する機能面も費用が大きく上下するポイントです。なお、同じ機能を実装する場合であっても依頼する会社によって費用は異なります。
アプリの機能別にかかる費用相場は、以下の通りです。
プッシュ通知機能 | 10~100万円 |
縦横の表示切替機能 | 5~10万円 |
OS(Android・iOS) | 100~200万円 |
チャット・メッセージ機能 | 20~40万円 |
位置情報機能 | 12~25万円 |
アプリ内の決済システム | 20~50万円 |
他アプリとの連携機能 | 5~40万円 |
デザイン制作 | 10~100万円 |
ユーザーデータ管理機能 | 50~100万円 |
ひとつの機能を追加するだけでもかなりの費用がかかるため、追加の開発や大規模な修正が発生しないよう、あらかじめ要件を明確にしておくのが大切です。
開発コストと利便性のバランスを両立するには、実装すべき機能を洗い出して最小限に抑えるようにしましょう。
アプリ開発にかかるその他の費用相場
アプリ開発は、開発費用とは別に維持費が必要です。リリース後も、サーバー保守のために一定のランニングコストがかかる点に注意しましょう。
主に維持費としてかかる項目には以下があります。
サーバー費用
アカウント登録費用
SSLサーバー証明書費用
運用・保守費用
ここでは、想定される維持費やその他の費用相場を解説します。
サーバー費用
アプリ開発では、データの管理と保管として利用するために、開発の段階からレンタルサーバーの契約が必要となります。
またリリース後も毎月レンタルサーバー代が必要です。月額数千~数万円程度で、ECアプリの場合は月額2万円程度となります。
アカウント登録費用
Apple storeやGoogle Playなどからアプリを利用する場合、すべてのユーザーからアカウントを取得する必要があります。
代表的なアプリのアカウント登録では、それぞれ以下の費用がかかります。
| アカウント登録費用 | 更新費用 |
Google Play developer account | 2,700円 | 不要 |
Apple developer account | 11,800円 | 初期費用と同額 |
SSLサーバ証明書費用
SSLサーバ証明書とは、通信データの暗号化を行うための電子証明書を指します。
平均相場は5〜10万円程度で、高度な暗号化システムを利用する場合は、より高額な費用が必要です。
レンタルサーバー契約時に必要となるので、アプリ開発費用の固定費として発生します。
運用・保守費用
アプリを開発して無事リリースした後は、定期的にメンテナンスをする必要があります。
たとえば、AndroidやiOSは随時OSをバージョンアップし続けており、アップデートの影響で互換性を失うと、アプリが使えなくなるリスクがあります。
アプリを維持するための運用・保守コストは、開発費用の20%前後です。
アプリ開発の費用はどうやって決まる?
アプリの開発費用は、開発会社によって大きく変わりますが、大枠は「人件費」と「開発期間」によって決められています。
人件費は「人月×人月単価×開発期間」で決まります。
人月:エンジニア、プログラマーなど開発に必要な1ヶ月の人員 人月単価:人員1人あたりが1ヶ月に作業した場合の費用 開発期間:開発・リリースまでにかかる期間 |
たとえば、システムを開発する場合に、1ヶ月5人のスタッフが必要であれば5人月になります。
人月単価は会社やエンジニアのスキルによって異なり、平均は100万円前後です。
システム構築の作業工程
システム構築の単価が決まる仕組みを理解しても、実際にどのような流れで作業が行われているかが分からないと、単価が妥当か判断しづらいものです。
一般的に、システム開発は以下のような流れで行われます。
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これらすべてにかかる費用が、システム構築費用として発生します。ただし、システムを利用する上で必要不可欠な「運用・保守」にかかる費用は、初期費用に含まれていないケースが多いです。
システムの構築費用とは別途かかることも多いので、契約費用だけでなくランニングコストも加味して、費用を比較検討するといいでしょう。
「人月単価が高い=質が高い」ではない
企業によっては、数十万円単位で単位が異なるので、どの予算感で依頼すべきか迷うケースもあるでしょう。
実際に「質の良いものを作りたいから、とりあえず費用が高めの企業に依頼しよう」「大手であれば問題ないだろう」と考えている人も少なくありません。
しかし、人月単価が高いからといって、必ずしも成果物の質が高いわけではないことを頭に入れておきましょう。
システム構築では、大手のシステム会社が依頼を受けて、さらに子会社や委託会社に作業を依頼するケースがあります。その場合に利益を確保するために人月単価が高めに設定されることが多いのです。
大手だからといった理由だけで依頼先を決めてしまっては、「高い費用を支払ったのに納得がいかなかった」という事態を招く可能性も考えられます。
システム構築にかかるコストを抑えるには、大手会社ではなく、単価の安い中小規模のシステム会社を選ぶのも手です。とはいえ、実績をしっかり確認した上で信頼できるシステム会社選ぶことが最優先です。
アプリ開発の費用を安く抑える5つのコツ
フルスクラッチによるアプリ開発は、企業や規模によって異なるものの、数百~数千万円単位の莫大なコストがかかるケースがあります。
ここでは、「そこまでコストをかけられない」「プロトタイプ開発を安く済ませたい」と考えている方に向けて、費用を安く抑える方法を紹介します。
アプリ開発コストを抑えるコツは以下の5つがあります。
機能や目的を明確にする
機能を最小限に抑える
レベニューシェアを利用する
フリーランスに依頼する
ノーコード開発を依頼する
それぞれのコツを順に解説していきます。
1. 機能や目的を明確にする
アプリ開発にかかる費用を抑えるには、機能や設計を明確にすることが大切です。
アプリ開発がある程度進んだ段階や、開発が終わってから機能を追加した場合、開発費用が膨らんだり、納期が延期になったりする恐れがあります。
そのため、要件定義の段階から、アプリの仕様をしっかりと検討して共有しておくことが大切です。
アプリを使用する目的や機能、サイトマップなど細部にわたる具体的な依頼書を用意しておくことで、開発コストを抑えられます。
2. 自社で対応できる部分を洗い出す
自社で対応できない部分だけを外注することで、開発費用を大幅に削減できます。たとえば、開発の工程で、アプリのデザインは自社で対応しやすいでしょう。
デザインを外注した場合は、100万円ほど費用が膨らむケースもあります。
自社ブランドを理解している人がデザインすることで、魅力を引き出すデザインになりやすい点も、自社で対応するメリットです。
3. レベニューシェアを利用する
費用を抑えるコツとして、レベニューシェアを利用する方法もあります。
レベニューシェアとは、依頼者と開発会社が費用を分担して、成果物による収益を分配し合うことです。
開発費用を2社で分担することで、大規模なプロジェクトでも実施しやすいメリットがあります。アプリでマネタイズする場合は、検討してみてもいいでしょう。
4. フリーランスに依頼する
フリーランスにアプリ開発を依頼すると、開発会社に依頼するより安く発注できる傾向にあります。
制作費用はエンジニアの技量によって異なりますが、安さだけで選ぶのではなく、実績のあるエンジニアに依頼するのがおすすめです。
個人のエンジニアは、制作物やポートフォリオを掲載していることが多いので、必ずチェックしてから依頼しましょう。依頼する前に、面接することもおすすめです。
ただし高機能なアプリ開発や、難易度が高いアプリは企業に発注すると安心です。
5. ノーコード開発を依頼する
開発コストを抑えるには、フルスクラッチではなく「ノーコード開発」を検討しましょう。
ノーコード開発であれば、ソースコードを記述せずに、ドラッグ&ドロップの簡単な操作のみでシステムやアプリケーションを構築できます。
フルスクラッチの3分の1もしくは4分の1程度に費用を抑えられるため、よほど大規模かつ複雑なアプリでない場合は、ノーコードがおすすめです。
さらに、開発期間を大幅に削減できるので、短期間での開発をしたい方やプロトタイプ開発、スタートアップ企業に向いてる開発手法と言えます。
ノーコード開発でかかる費用について詳しく知りたい方は、「ノーコード開発にかかる費用は?フルスクラッチとの比較や受託開発会社の選び方」をご覧ください。
アプリ開発の費用例
アプリ開発を検討している方は、まず実際にどれくらいの費用がかかるのか知っておくと良いでしょう。
どれくらいの費用があれば、どのような機能を備えられるか、どの部分にこだわれるか、などのポイントに着目してください。
ここでは、アプリ開発サービスを扱う企業や、実際にアプリを開発したことがある企業のうち5社の費用例を紹介します。
アイユー株式会社
アイユー株式会社は、アプリ制作サービス「CHACO-WEB」を提供している企業です。
CHACO-WEBで作成できるアプリの種類は、受付アプリや予約システム、カタログアプリなどさまざまです。アプリの種類によって、費用が異なります。
それぞれの開発費用は、以下の通りです。
受付管理アプリ:15万円~
医療系予約システム:20万円~
カタログアプリ:55万円~
カタログアプリは大手向けに開発したものなので、他のアプリやシステムよりも高額です。開発先の規模や備える機能に応じて、価格が変動します。
また公開先によって費用が異なり、App Storeの場合が5万円~、Google Playの場合が3万円~です。標準装備のアプリであれば、最短で1か月ほどで作成できます。
紹介した価格は開発費用のみなので、その後の運用費用を見込むと100万円以上かかると考えられます。
株式会社Cyber Cats
株式会社Cyber Catsは、販促用アプリの制作を請け負うサービス「アプリメンバーズ」を提供している企業です。
初期費用は3万円、月額費用は1万9,800円です。アプリダウンロード数が増えるにつれ、月額費用が上乗せされる仕組みとなっています。
またポイント機能やスタンプ機能、クーポン機能、会員証機能、プッシュ通知機能など、店舗アプリに必要な機能を標準装備できます。
店舗近くを通った見込み客にアプローチできるiBeacon機能も備わっており、売り上げ向上を目的にシステムを導入したい方におすすめです。
株式会社DIPRO
株式会社DIPROは、自社商品やサービスを販売するためのECアプリを開発した企業です。具体的には、女子向けのアイテムを提案するファッション通販アプリです。
ECアプリの開発には301万円〜600万円の費用がかかり、導入できるまで4か月ほどかかりました。
ECアプリを導入してからは、プッシュ通知で新着アイテムやキャンペーンを提案する機能の活用により、ユーザーの滞在時間の増加につながりました。アプリを開発するときは、誰もが使いやすいデザイン性を重視しています。
ekoios株式会社
ekoios株式会社は、マルチチェーン仮想通貨ストレージの未来「 VC Wallet」や、次世代ライブストリーミングモバイルアプリ「Fammi Live」を開発した企業です。
これらのアプリを開発するのにかかった費用は、601万円〜1,000円です。各アプリの納期は、VC Walletが2か月ほど、Fammi Liveが4か月ほどかかりました。
VC Walletは多言語サポートもあり、AppStore で5/5のランキングを獲得した実績があります。
Fammi Liveは、ポイント消費を1分単位で消費して動画を視聴できるシステムや、視聴者との会話スペースなどを設けています。
株式会社コハク堂
株式会社コハク堂は、一般ユーザー向けのユーザーと提供者をつなぐサービスや、フードデリバリー・管理アプリを開発しました。
ユーザーと提供者をつなぐサービスの開発費用は301万円〜600万円、納期は4か月〜6か月ほどです。
開発するときは、当社独自にフレームワークを使い、低コストでスピーディに導入できました。その後のシステム改修などの運用費用は、予算内に抑えられました。
フードデリバリー・管理アプリは、開発費用が1,000万円以上で、納期が6か月ほどです。
ネット注文からドライバー指示まで、フードデリバリーの注文に必要な機能の統合システムを導入しています。
アプリ開発の費用を抑えるには補助金や助成金の活用もおすすめ
低コストでアプリを開発できても、運用までに数百万円以上かかるケースがあります。十分な費用を準備できない場合や、なかなか予算内に抑えられない場合は、補助金や助成金の活用がおすすめです。
ここでは、アプリ開発におすすめの補助金・助成金制度を紹介します。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者が利用できる補助金制度です。制度の変更によりサービス開発するときや、開発資金などを支援するときに適用できます。
最大補助額は3,000万円、補助率は1/2または2/3です。本記事で紹介したアプリ開発にかかる費用例からすると、補助金額は十分であるといえるでしょう。
また一般型・グローバル展開型・ビジネスモデル構築型・通常枠・デジタル枠の5つの申請枠に分かれています。枠や従業員数によって、最大補助額と補助率が異なります。
IT導入補助金
IT導入補助金は、ITを活用した中小企業や小規模企業が利用できる補助金制度です。業務効率化や売り上げの向上を目的にアプリ開発を導入したい場合、費用の一部を補助するものです。
最大補助額は450万円、補助率は1/2以内です。本記事で紹介したアプリ開発にかかる費用例からすると、開発から運用まで低コストで済むアプリ開発におすすめです。
また通常枠・セキュリティ対策推進枠・デジタル化基盤導入類型・複数社連携IT導入類型の4つの枠に分かれています。アプリを開発するためにパソコンを導入した際にも、補助金制度が適用されます。
持続化補助金
持続化補助金は、小規模事業者が利用できる補助金制度です。制度変更により持続的な経営を行うためにアプリ開発をする際、経費の一部を補助するものです。
最大補助額は200万円、補助率は1/4です。
また通常枠と特別枠の2つの枠に分かれています。特別枠は、賃金引上げ枠とインボイス枠などの申請類型に分類されます。
アプリの開発費用まとめ
アプリの開発費用は、開発するアプリの種類や機能、会社によって大きく異なります。初期費用を安く抑えることができても、運用や保守でコストが膨らむケースもあるので、見積もりはしっかり行いましょう。
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