オフショア開発は、ベトナム・中国・インド・フィリピン・ミャンマーなどの海外会社にシステム開発を委託する開発手法です。
人件費の削減とIT人材不足の解消につながることから、近年国内でも広く注目を集めています。国によってはIT技術が非常に高く、ハイクオリティで大規模な開発にも対応可能です。
当記事では、オフショア開発でおすすめの開発会社を国別に紹介します。代表的な国ごとの特徴や費用相場、委託会社を選ぶポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。
オフショア開発とは
オフショア開発とは、システムやアプリなどの開発業務を海外会社や海外子会社へ受託・発注することを指します。
日本国内には、年々増加している「IT人材不足」と「人件費高騰」という課題があり、開発の需要に供給するのが難しい状況でした。
そこで海外会社に開発を受託することで、開発コストを抑えつつ人材を確保できるようになるため、オフショア開発の注目が広がりつつあるのです。
オフショア開発で代表的な国
オフショア開発は、日本と比較的時差が少ないアジア圏で委託するのが一般的です。
中でも代表的な国として、ベトナム・中国・インド・フィリピン・ミャンマーなどが挙げられます。
ここでは、オフショア開発における各国の特徴を解説します。
ベトナム
ベトナムは、数あるオフショア開発国の中で最も人気が高い国として有名です。オフショア開発の実績はもちろん、IT技術や親日性の高さ、紛争が起きない安全性など多方面から人気を得ています。
人件費を大幅に削減できるため、プロジェクトのコストを抑えつつ優秀な人材を確保できることが強みです。外資系企業への税制の優遇措置があり、「法人所得税は最初の4年間免除、その後9年間は50%」と、収める税金も少なく済みます。
さらに日本との時差も比較的少なく、リアルタイムのコミュニケーションがしやすい点も大きなメリットです。
中国
中国は、優秀なITエンジニアの人材を豊富に有しており、オフショア開発先として日本と長く関係が続いている国のひとつです。一方で、日本同様に人件費が高騰しており、大幅なコストカットは見込めません。
日本語が堪能なエンジニアも少なくなく、コミュニケーションをすべて日本語で行うことも可能です。また中国と日本の時差は1時間しかないため、円滑なやり取りが行えます。
中国は国としての規制が強く、国内サービスは国内で開発しなければならないケースもあるでしょう。中国でのビジネス展開を検討している企業は、中国への発注も検討するべきと言えます。
インド
インドは、英語スキルが高く優秀な技術力を持つIT人材が多く揃っている国です。高品質な成果物が期待できること、高度な案件を発注できることから人気を集めています。
その技術力の高さからアメリカ企業からの人気も高く、アメリカのオフショア開発としての歴史も長いことが特徴です。
ただし、日本や中国と同様に、人件費の高騰が進んでいるため、大幅なコストカットは期待できないでしょう。大型案件や高い技術を要する案件などでは、場合によってはトータル的に安く抑えられるケースもあります。
フィリピン
フィリピンは、日本との時差が少なく人件費を抑えられる国です。日本のオフショア開発の委託先としての人気も高まっており、今後は人件費の高騰が予想されます。
英語が得意な国なので、もともとはアメリカをターゲットとしている企業が主流となっています。海外進出やグローバル化を視野に入れている企業に選ばれやすいことが特徴です。
日本語を得意とする人材が少ない傾向にあるため、ブリッジSEやPMの単価が高いこともあり、トータルで見ると費用が安いとは言えません。
ミャンマー
ミャンマーは、比較的人件費を安く抑えられる国のひとつです。オフショア開発のメリットである人件費のコストカットが期待できるでしょう。
その反面、開発経験が少なく、技術面や設備などが劣ることが課題です。インフラが遅れているため、都市部であっても停電が起こる問題などがあります。
スケジュールを組む際は、余裕を持ったうえでさまざまな点に配慮する必要があります。ミャンマーは、高度な技術を要さない中小規模のプロジェクトを委託する場合に向いているでしょう。
オフショア開発の費用相場|国別
オフショア開発は国によって相場が大きく異なります。まずはどの国を選べばよいのか、費用の観点からチェックしましょう。
オフショア開発における国別の費用相場は以下のとおりです。(2022年集計)
人月単価(万円) | プログラマー | シニアエンジニア | ブリッジSE | PM |
ベトナム | 31.73 | 39.88 | 51.34 | 57.94 |
中国 | 42.09 | 52.06 | 84.78 | 85.77 |
インド | 34.72 | 51.56 | 67.97 | 83.90 |
フィリピン | 36.25 | 49.63 | 71.07 | 65.83 |
ミャンマー | 24.47 | 37.89 | 48.59 | 62.81 |
参照:オフショアQ&A|「オフショア開発.com」
前年に比べると、オフショア開発の全体的な単価は増加傾向にあります。しかしPMの単価はインドを除き、2〜28%ほど下がっているようです。
最も単価を安く抑えられるのはミャンマー、次にベトナムです。ただし、単価が安い分技術面では中国やインドには劣る面もあるため、開発するシステムの規模や難易度を踏まえてよく検討しましょう。
オフショア開発会社を選ぶポイント
オフショア開発を委託する際は、5つのポイントから開発会社を選定しましょう。
契約形態
得意領域や実績
社内体制
コスト面や予算
コミュニケーション
ここでは、それぞれのポイントについて解説します。
契約形態
オフショア開発には「一般請負契約」と「ラボ契約」の2種類があります。
一般請負契約とは、開発におけるすべての工程を委託する形式です。開発を進める中で追加費用が発生せず、高いクオリティを期待できるメリットがあります。
ラボ契約は、開発の専属チームを一定期間にわたって確保し開発する形式です。仕様変更や納期などに融通が効きやすく、定期的な発注がある場合に向いています。
開発するシステムの内容に適した契約形態を選びましょう。
得意領域や実績
一口にオフショア開発と言っても、会社によって業務内容はさまざまです。依頼内容によっては高度なITスキルを要する場合もあるため、国や企業によっては対応しきれないケースがあります。
また日本での開発実績があるかも重要です。日本は「開発しながら内容を擦り合わせて最適な設計を行う」ことが多く、日本独自の開発スタイルに慣れていないと認識のズレが生じてしまうケースがあります。
自社で依頼したい内容と会社の得意分野がマッチしているか、日本とのオフショア開発実績が豊富にあるかを十分確認しましょう。
社内体制
SEの質や能力、セキュリティ対策の面も十分確認したいポイントです。
SEの質は開発する成果物に直接影響します。開発スキルや知識はもちろんのこと、コミュニケーション能力やプロジェクトの管理能力があるかチェックしましょう。
とくに開発で失敗しないためには、コミュニケーションを密に取り、顧客のニーズを的確に伝えることで認識にズレが生じないことが重要です。
さらに内部不正や情報漏洩、外部からのサイバー攻撃などの対策が十分かどうかも確認したいポイントです。
コスト面や予算
オフショア開発は、国によって開発コストが大きく異なります。自社で定めた予算をもとに、どの国に依頼するかを検討しましょう。
ただしコストを抑えるがあまり、技術力が低く成果物に満足できないケースも考えられます。さらに開発規模が大きいほどコストは増加するため、その点も踏まえて検討しなければなりません。
費用だけを見るのではなく、開発規模や技術面を考慮したうえで、開発国を選ぶといいでしょう。
コミュニケーション
コミュニケーションのしやすさを基準にすることも一般的です。
たとえば、日本語に完全対応できる開発会社を選ぶ場合は、ややコストが割高になります。反対に、英語や現地語で対応する場合は、コストが低くなる傾向にあるのです。
オフショア開発をはじめて委託する、英語や現地語での対応が不安といった場合は、日本語対応できるPM・ブリッジSEがいる会社に依頼するといいでしょう。
【比較】おすすめのオフショア開発会社
ここからは、国別におすすめのオフショア開発会社を紹介します。
ベトナム
ベトナムに拠点を構えるオフショア開発会社の中から、3社紹介します。
株式会社BAP Solution Japan
株式会社BAPは、東京・大阪・名古屋、ベトナムのダナンにオフィスを構えるオフショア会社です。日本語能力や技術水準が高いベトナムチームによる開発が強みで、国内外にオフィスを構えています。
最新テクノロジーの導入やスタートアップ企業への支援にも熱心で、日本大手企業との取引実績も多く、世界的に有名なグローバル企業からも信頼のある会社です。
またビジネスアプリやゲームアプリ、Webサイトの開発など、さまざまなシステム開発を行っています。ビジネスアプリの中には、VR機能を適用させてバーチャルで研修を受けられるものもあります。
株式会社アイディーエス
株式会社バイタリフィは、東京とベトナムに拠点を構えるオフショア会社です。ベトナムにアフショア開発を依頼することで、人件費を日本の1/2~1/3程度に抑えられ、全体的な開発コストの削減につながります。
ベトナムのオフショア開発会社ですが、支払いは日本円で、契約からサポートまで日本人が対応してくれます。すべて日本での対応となっているので、ベトナム言語がわからない場合でも利用が可能です。
また公式サイトでは、セミナー情報を定期的に配信しています。会場でセミナーを開催するだけではなく、オンラインセミナーも開催しているので、会場から離れた地方に住んでいる方でも参加できます。
株式会社バイタリフィ
株式会社バイタリフィは、東京・ベトナムのホーチミン・ベトナムのハノイに拠点を構えるオフショア開発会社です。日系ベトナムオフショア開発企業の中でも、最古参のNo.1老舗企業として知られています。
日本と同様の高いセキュリティ体制が充実しており、社内教育から機密保持の重要性を促す取り組みを行っています。
またベトナムの日系企業や現地企業に勤務する方を対象に、現地企業交流会やウェビナー開催を頻繁に開催中です。情報交換を行ったり、課題を共有したりできるので、ビジネスの幅も広がるでしょう。
中国
中国にあるオフショア開発会社の中から、2社を紹介します。
株式会社J&Cカンパニー
株式会社J&Cカンパニーは、中国に拠点を置くシステム会社です。「リモートグローバル開発」を推奨しており、With/Afterコロナ時代を先駆ける会社として注目されています。
「J&C」というロゴマークには、さまざまな想いが込められています。
「J」の意味は、JAPAN(日本)、JOB(仕事)、JOY(楽しく)、JOINT(連携)などです。「C」には、CHINA(中国)、CREATION(創造)、CONVERSATION(会話)、CONFIDENCE(信頼)などの意味合いが込められています。
ITエンジニアのレベルが高く、対応できるプロジェクトの幅が広いことが強みです。さらに人材育成にも力を入れており、リソース面でも安心できます。
株式会社リーディングソフト
株式会社リーディングソフトは、東京と中国に拠点を構えるオフショア開発会社です。今までには、大手の携帯会社などと取引を行った実績があります。
また転職アプリや電子母子手帳など、さまざまなアプリを開発してきました。携わったスタッフやエンジニアの人数は、1つのアプリに対して5名であるものもあります。最低限必要な人数だけを起用するので、開発にかかるコストの削減も可能です。
信頼性の高いオフショア会社でアプリを開発したい方に適しているでしょう。
フィリピン
フィリピンにあるオフショア開発会社の中から、2社を紹介します。
株式会社クライド
株式会社クライドは、フィリピンに拠点を置くオフショア開発会社です。エンジニアと密なコミュニケーションを取り、小さな点であっても情報共有を行う点が特徴です。
ラボ契約・一般請負契約の2つの構築体制を提供しており、膨大なリクエスト対応が求められるシステム開発の経験もあるため、大規模な案件にも対応できるでしょう。
またエンジニアとのコミュニケーションを毎日行うことを推奨しており、スケジュールをスムーズに進められるよう努めています。コミュニケーションを頻繁に取れば、開発時期を早められるだけではなく、認識のズレが起こることも避けられるでしょう。
株式会社LIG
株式会社LIGは、東京・広島・ベトナム・フィリピンに拠点を構えているオフショア開発会社です。これまでに制作したものは、採用サイトやコーポレートサイト、メディアサイト、サービスサイトなどさまざまです。
特にデザインにこだわりがあり、毎年デザインアワードを複数受賞しています。ただWebサイトを制作するだけではなく、ビジネスを行う上で必要なWeb戦略の立案も行います。
また契約したあとは、4か月〜7か月半程度で完成することがほとんどです。
インド
インドにあるオフショア開発会社の中から、4社を紹介します。
株式会社Auto Magic
株式会社AutoMagicは、神奈川県藤沢市に日本本社を構えるシステム会社です。同社はインドのデリーにも本社を設立しており、2拠点体制で開発を行っています。
国内とインドの両方に日本人のブリッジSEが配置されており、完全日本語対応が可能です。スピードとクオリティを重視したい依頼案件がある場合に向いています。
また株式会社AutoMagicには、エンジニアが100名以上所属しており、300名以上のエンジニアが登録しています。プロトタイプの制作であれば無料で行えるので、1度試しに相談してみると良いでしょう。
株式会社NEX-GEN
株式会社NEX-GENは、東京とベトナムに拠点を構えるオフショア開発会社です。Webアプリからモバイルアプリまで制作が可能なので、さまざまな機器で利用できるアプリを開発したい方におすすめです。
今まで制作してきたアプリは、ソーシャルネットワークアプリや旅行用アプリ、ウェブベースの企業向けアプリなどがあります。マーケティング強化により、ブランドアイデンティティの向上にも貢献しています。
株式会社ハーミッツ
株式会社ハーミッツは、神奈川県とインドに拠点を構えるオフショア開発会社です。業務の効率化や収益の向上、コスト削減などの課題の解決につながるシステムを開発しています。
さまざまな開発に携わってきた中でも、モバイルアプリ開発の実績が多数です。株式会社ハーミッツが開発したアプリは、業務効率化や生産性向上に役立つ機能を備えていることが特徴です。
また、iOSのバージョンアップや端末のリリースなどに応じて、臨機応変に対応できるアプリも開発しています。アプリを開発する上で、バージョンアップなど更新にかかる手間をできるだけ省きたい方におすすめです。
anyenv株式会社
anyenv株式会社は、東京とインドに拠点を構えるオフショア開発会社です。これまでには、Webアプリやモバイルアプリ、ノーコード・ローコードツールなどの開発実績があります。
具体的な開発実績は、お酒ビギナー向けモバイルアプリやECサイト、健康管理システム、教育現場業務管理システムなどです。さまざまなジャンルの企業に携わってきた実績があるので、業種問わず相談してみると良いでしょう。
またノーコードでECショップを構築できるShopifyの支援も行っており、Shopifyを使ったカスタムアプリを制作したい方におすすめです。
ミャンマー
ミャンマーにあるオフショア開発会社の中から、2社を紹介します。
GIG株式会社
グローバルイノベーションコンサルティング株式会社は、低価格・高品質を実現できるオフショア開発会社です。日本およびミャンマーで、ラボ契約・一般請負契約の2種類の形態でオフショア開発を行っています。
大規模なシステムから小規模なシステムに対応しており、日本語および英語に堪能な技術力の高いITエンジニアチームが対応します。
株式会社キャピタルナレッジ
株式会社キャピタルナレッジは、大阪・東京・ミャンマー・モンゴルに拠点を構えるオフショア開発会社です。海外のエンジニアを活用して、コストを抑えながらスピーディかつハイクオリティなシステムを開発します。
今までに開発してきたものは、自社基幹業務システム、音声認識ビデオチャットサービス、投資用収益マンション売買マッチングサイト、ホテル業務管理システムなどさまざまです。
またミャンマーに拠点を置いていることを活かして、ミャンマーのニュースや情報発信のポータルサイトの開発も行っています。
コスト削減なら「ノーコード開発」も検討しよう
オフショア開発は、システム開発の人件費を抑えつつ開発人材を確保できる手法です。一方で、言語の違いによるコミュニケーションの問題や、文化の違いによる仕様理解、業務範囲の問題も見過ごせません。
開発のコストを削減するなら「ノーコード開発」の委託がおすすめです。ノーコードであれば、コーディングが一切不要なので、短期間・低コストでシステム開発が行えます。
さらに、IT人材のリソースが少なく済むため、保守運用や小さな修正・改善であれば、社内で対応できるケースもあり、エンジニアが不足している場合も安心です。
ゲームアプリやSEOに弱いデメリットもありますが、小中規模のシステムやアプリ開発であれば、ノーコード開発で十分対応できるでしょう。
ノーコードに関する詳しい内容は、「ノーコードを受託開発するメリットは?おすすめの受託開発会社8社や受託先の選び方」をご参考ください。
まとめ
オフショア開発を上手に活用することで、人件費を抑えながらIT人材の確保が期待できます。一方で、国や会社選びを誤ると、コストカットが見込めず、品質に満足できない可能性もあるため注意が必要です。
費用を安く抑えつつ、短納期で依頼を発注するなら、「ノーコード」による開発も視野に入れましょう。シースリーレーヴ株式会社では、低コスト・ハイスピードかつ、ハイクオリティな開発が可能です。
難易度の高いシステム開発も数多く手がけており、企画・デザイン・開発・運営まですべて対応できるため、複数社とのやり取りやコスト削減にもつながります。
「低コストでシステム開発したい」「小中規模のアプリ開発を任せたい」と考えている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!